Lie & Caprice

APHに滾ってワンピに悶えデスノに転がる、割と雑食気味の決して健全ではない二次創作中心のブログです。

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米英はすれ違いラブの王道だと信じています。

続きから小説(米←英?「届かない背中」の英視点)





いっそあいつを撃ってしまえば良かった、と。
絶え間なく襲い来る絶望と言う名の闇に身を包まれながら、何度思っただろう。

けれどそんな事、本当に出来る訳が、無い。

「イギリス。俺は君から独立するよ。もう、弟でも家族でもない」
「な、んで・・・何でだよ・・・あめりかぁ・・・!!」

何で、なんて。そんなの俺が一番よく知ってる。
束縛し過ぎた。負担を掛け過ぎた。成長したあいつを見ようとせずに、小さな籠の中に閉じ込めようとした。
あいつが自由を望むのは、当然の成り行きだったのだ。
なのにそれを認められない俺は、無様に蹲って泣き喚くことしか出来なかった。

アメリカ。

アメリカ。

アメリカ。

なぁ。俺は自分が間違っている事に気付いていたんだ。
それでも、お前を守っていけると、いつまでもお前と共に居られると、本気で信じていたんだ。

これは、罰だ。
お前を狭い籠の中から出そうとしなかった俺の、この期に及んですらお前を引き止めようとする俺の、浅ましさを諌めるための罰。
ならば、受けなければならない。逃げることは許されない。
それが例え、癒えることの無い傷だとしても。

恥も外聞も捨てて、感情のままに流れる涙と共に今。絶望に彩られた新しい道が開かれた。



果ての無い絶望と後悔。幾度も胸の内に湧き上がる醜い感情。それらに翻弄されながら、幾年月が過ぎただろう。甘んじて受け入れる筈だった傷はあまりに深く、ゆっくりと、しかし確実に俺の心を蝕み続ける。
既に俺はアメリカの独立を認めざるを得ない状況に追い遣られており、承認の為の調印式の日程が決定されると、その傷は更に深く俺を苦しめた。

ああ、でも。愛しているんだ、アメリカ。
同時に、苦しくて堪らないんだ。
想いの深さの分だけ血を流す心が、流れた血の分だけ狂いそうになる自分が、怖くて堪らない。

結果、色褪せる事の無い黒い感情が離れていった愛し子を憎まないように、そして己の心が壊れないようにする為に、俺が選んだのは全ての感情を消してしまう事だった。



その選択は、完全に成功したとは言い難いものの、僅かばかりの効果はあったようだった。
お陰でアメリカの刺す様な視線を受けながらも、薄っぺらい紙にサインする手は震えてはおらず、いつもの様に動いてくれた。
ただ、最後の一文字の力加減が上手く調節できずにインクが滲んだけれど、不自然なほどではない、と思う。寧ろその滲んだ文字が、押し殺した俺の心情を代弁してくれている気がして、少しだけ気が楽になった。

さあ。俺の役目は終わった。後は上司同士の話し合いだけだし、俺が居なくとも問題はないだろう。
本当は何かしらの言葉を述べた方が良いのかもしれないが、生憎とこの場に相応しい美麗字句は思い浮かばなかった為、一礼のみで勘弁して貰おう。
そのまま上司に視線で退室の許可を求める。望み通りの返答を得て扉を抜けた所で、アメリカの声と何かが倒れた音がしたが、今の俺に気にする余裕など無かった。

長い廊下を黙々と歩む。本当は今直ぐにも全力で走り出したい気持ちだった。ただ此処は公式の場であることだし、紳士らしからぬ行動は憚られる。代わりに背後から響いてくるばたばたと慌しい足音が、俺を目指しているのでなければいいと願ってみたが、それはあっさりと覆されてしまった。
「イギリス!待ってくれよ!」
懐かしい声に。懐かしくて愛しくて憎らしい声に呼び止められ、知らず肩が揺れる。振り向かなければと思うのに、俺の両足は立ち止まるだけで精一杯だった。
僅かに息を切らしたアメリカが、やや置いてゆっくりと話し始める。

「・・・独立、漸く認めてくれたね」
「・・・・ああ」
「全く、独立してから何年経ったと思っているんだい?君の相変わらずの頑固さには参ってしまうね!」

殊更に明るく言うアメリカは、多分何かしらの違和感を覚えているのだろう。
此処で俺がやるべきことは一つ。「誰が頑固だ!」とか「頑固で悪かったな!」とか今迄の様に怒ってみせることだ。怒って、嗜めて、最後には苦笑と共に許してやる。それがアメリカがちょっとした我が儘を言ったり、悪戯をした時の俺の反応だった。
出来る、筈だ。その為に感情を殺すと決めた。胸の内に広がる黒い感情を殺して、今まで通りの俺を演じると決めた。

なのに。

「・・・・そうだな。頑固、なんだろうな」
「・・・え?」

口の端から零れた声は凍て付いたままで、顔の筋肉は全く思い通りに動いてはくれなかった。
漸く振り向いた視線の先に、アメリカの戸惑った様な表情を見付けて自嘲の笑みを浮かべる。
――――結局それすらも面には出てはくれなかったけれど。


こんな筈ではなかった。
もっと紳士的に、黒い感情は殺して表情を取り繕って、アメリカの独立を認める筈だった

けれど、苦しい思いは膨れ上がる一方で。

完全に消すことなど出来るはずも無かったんだ。
だっていま、こんなにも苦しい。
大声で泣き喚いて、アメリカに取り縋って、帰って来いと懇願したくなる衝動を抑えることに必死だった。

「ねぇ、イギリス」

これ以上アメリカの声を聞きたくない。アメリカの顔を見たくない。

「もう調印式も終わったんだし、食事にでも行かないかい?俺、君に言いたかったことが・・・」
「すまないが、時間が無い」

気が付けばアメリカの声を遮って、俺達は既に家族ではないと、個人的な交友は出来ないと、冷たく言い放つ俺が居た。

瞬間、アメリカが酷く傷付いた表情を浮かべたのが見えたが、全て振り切って背を向ける。これが虚勢だと見抜かれない様に、精一杯背を伸ばして、真っ直ぐに。

すまない。すまない、アメリカ。でも俺にはこうする事しか出来ないんだ。
お願いだ。これ以上俺を惨めな気持ちにさせないでくれ。

「イ、ギリス」

震える声に、胸が騒ぐ。
でも、駄目だ。駄目なんだ。

俺は俺の愛し方が間違っているのを知っていて、なのに正しい方法は今もわからないままだ。
アメリカが大切だった。大切で愛しくて、傍に居たかった。
けれど家族という距離を奪われた俺には、家族以外として傍に居るための距離が測りきれなくて、また間違ってしまう事が怖いんだ。

「イギリス」

間違う位なら。間違って、また苦しい思いをする位なら。
追ってくる声には耳を塞いで、お前との完全なる決別を選ぼう。


伸ばせない手
(お前の声に応えるなんて出来る筈が、無い)




「届かない背中」にリンクしてます。英視点。
結局どれだけ冷静を装ってても、やっぱりメリカ大好きな英、なのです。

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最早抜け出せない世界にどっぷり浸かって、それが結構幸せな御目出度い人間です。

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